推拿(すいな)で免疫力を上げる方法
感染症から身を守るためにマスクを買い占めるのも良いですが、やっぱり自分の免疫力を高めてしっかりガードしたいですよね。
中国は昔から「漢方」や、予防医学である「中医学」が生活の中に浸透していたので、みんな免疫力が高くて、昔流行ったペストやコレラなど感染症の歴史の中でも中国人の生存率は高かったそうです。
最近は中国でも西洋医学が主流になってきているようですが、漢方や中医学を捨ててしまうのは非常にもったいないと思うので、今回は中医学の観点から免疫力を高める方法をお伝えします。
そのために、まずは「経絡」と「気」について説明します。
「経絡」と「気」
中医学的には、人間の身体には経絡(けいらく)というエネルギーの通り道があって、そこを「気」「血」(けつ)「水」(すい)が流れていると考えられています。
その中でも、身体を外邪から守る働きをしてくれるのは「気」です。
「気」の働きと種類
「気」は身体を動かすエネルギーであり、身体を温めたり、疾病の原因から身体を守る働きがあります。
また、「気」には4種類あって、①原気(元気)②宗気 ③営気(栄気) ④衛気
とありますが、特に免疫力に関係が深いのは①の原気(元気)と④の衛気です。
「原気(元気)」とは
原気(元気)とは、両親から受け継いだ先天の精から成るもので、生命活動の原動力となるものです。(食欲や性欲、その他生きようとする欲求をもたらす気)
この原気は後天の精(食べ物)によって補充されていくので、免疫力をアップさせるには毎日の食事に気をつけることももちろん大切です。
原気は臍下丹田(お臍の下2寸ぐらい)に集まり、この「原気」が旺盛であれば、下腹部に力があり、体内の臓腑・器官も力強く働くので活気があって病気にかかりにくい状態です。
逆に「原気」が衰えると、下腹部に力が入らず冷えて疲れやすく、病気にかかりやすくなってしまいます。
この場合は、臍下丹田のあたりを温経療法で温めて原気を強めるという方法があります。
「衛気」とは
衛気とは、後天の精(食べ物)から得られる陽性の気であり、体温保持や皮膚の収縮と弛緩の役割のほか、体表近くをすばやく巡って外邪の侵入を防いでくれるのです。
この「衛気」がきちんと働くためには、原料となる食べ物からしっかり栄養を摂ることと、気がスムーズに巡る身体にしておくことが大切です。
中医学的に見る健康な状態とは
中医学では「天人合一思想」というものがあり「人体は小宇宙。人間も自然の一部である」という考え方です。
つまり、大自然(大宇宙)の気と調和している状態を「健康」と考えます。
例えば水も、自然界にある水は腐りませんが、蓋つきのコップに入れて外部の気と遮断されている水はだんだん腐ってきます。
これと同じように、人間も皮膚で覆われて形作られてはいますが、外部との気の出入りが自由に行われている状態であれば病気にはなりません。
一方、エネルギーの通り道である経絡に「気」「血」「水」の何らかが滞ってしまうと気血の巡りが悪くなり、外部との気のやり取りがスムーズに行われなくなり様々な不調を引き起こしてしまうのです。
では、外部との気のやり取りをスムーズに行えるようにするにはどうしたらよいのでしょうか?
気血の巡りをスムーズにするために
このように様々な不調を引き起こす「経絡のつまり」を取り除き、身体を守ってくれる「衛気」がしっかり機能するために、中医学理論に基づいた中医推拿の施術は非常に効果的です。
中医推拿とは、様々な手技を用いて凝り固まった筋肉を柔らかくして、経絡のつまりを取り除く伝統的な施術法であり、身体の陰陽バランスを調えることにより病気になりにくい身体を作る予防医学の一つです。
まとめ
免疫力は一日にしてならず。
毎日の食事や睡眠など生活習慣を整えるとともに、推拿の施術も活用しながら、感染症に負けない強い身体を作っていきましょう。