自然療法で健康美人になる方法

中医推拿をはじめとする「自然療法」で健康美人になる方法をご紹介

ステロイド断ちしたいあなたへ~自然療法でアトピーを改善する方法~

                

f:id:kaiunnseitai:20200709205333j:plain

 

ジメジメした梅雨の時期になると、お肌がじゅくじゅくと痒くてつらい! もしくは、秋から冬にかけて空気が乾燥してくるとお肌がカサカサして痒い!

同じアトピー性皮膚炎でもこのように、人によって季節によって症状の出方が違うのは何故でしょうか?

 

皮膚の問題だからと皮膚科に行くと、ステロイドで炎症を抑えて痒みを止める、もしくはお肌の乾燥を防いで潤すスキンケア製品を勧められるだけ。

どちらも対症療法です。

 

長い間ステロイドを塗っていても一向に改善しない。それどころかますます悪化してしまう、というお話もよく聞かれます。

かゆくて仕方がない場合に一時的に薬を使うのは良いと思いますが、やはりこの症状は皮膚だけの問題ではないので、根本的に原因を突き止めて身体の中から整えていかないと、なかなか完治までは至りません。

 

今回は、ステロイドを使わずにアトピー性皮膚炎を根本治療したい方へ、中医学から見る「アトピー性皮膚炎の原因」と、自然療法による改善法をご紹介します。

 

中医学的に診るアトピー性皮膚炎の病機

 先ほど、皮膚科では対症療法が主流と書きましたが、西洋医学では皮膚炎といえば皮膚の問題として扱うのに対し、中医学東洋医学)的には、表面的な症状が皮膚に出ているだけであり、根本原因は皮膚につながる臓(内臓)の機能低下によるものだと考えます。

さらに、その内臓の機能低下を引き起こした原因を探るため、体質や食生活、生活習慣から思考のクセなど、総合的にアプローチしていきます。

 

五臓六腑で言うと、皮膚をつかさどる「肺」、湿気やくよくよ(感情)の影響を受けやすい「脾」、ストレスの影響を受けやすい「肝」が特に関係しています。

 

f:id:kaiunnseitai:20210223153920j:plain



ちなみに、健康な状態の時、五臓(肝・心・脾・肺・腎)はお互いに作用しながらバランスを保っています。

しかし何らかの原因でどれか一つの臓に異変が起こると連鎖的に他の臓にも影響し、それが目に見える症状として表れてくるのです。

 

例えば、「脾」と「肺」は相生関係(親と子の関係)にあるため、何らかの原因で脾の機能が弱まった結果、それが肺に影響して、肺が司る皮膚に症状が現れるといった具合です。

 

 では、中医学的に診るアトピー性皮膚炎の病機について、詳しくみてみましょう。

 

梅雨時期に痒くなる理由

まず、ジメジメした梅雨時に症状がひどくなる方は、五臓のうち「脾」の機能が低下していることが考えられます。

中医学の「脾」というのは六腑の「胃」と一体になって、食べ物から栄養や「津液」(体内の水分)を吸収し、全身に行き渡らせる働きをしています。西洋医学で言う胃腸の働きです。

 

脾は湿邪を嫌うため、湿気の多い環境に長くいると脾の機能が弱まり、津液が停滞してむくみや痒みを引き起こすことがあります。

身体の中に悪い水(汚水)が溜まっているイメージです。

 

また、脾胃に湿が滞っている状態が長期化すると熱化して、発熱や炎症が起こる「脾胃湿熱」の状態に至ります。

体内に溜まった熱が炎上してしまうと、身体の上半身に赤みの症状が出たり、蕁麻疹やニキビ、吹き出物など炎症が起こりやすくなります。

 

食生活から見ると、油っこいものや甘いものの偏食、日常的な飲酒も、脾胃を傷め鬱熱が生じて「脾胃湿熱」を引き起こしやすいと考えられるので、心当たりのある方は食生活を改善すると良いでしょう。

 

乾燥による痒みの場合

一方、秋から冬にかけて乾燥の季節にお肌がカサカサして痒くなる場合もあります。

中医学的には五臓の「肺」は皮毛を司っており、陽性の気(特に衛気という身体を守る気)と津液(身体の良い水分)を巡らせることにより、皮毛に潤いを与える働きをします。

肺は乾燥に弱いので、この肺の機能が正常でなくなると、皮膚が乾燥したり、湿疹・浮腫が現れることがあります。

 

五臓と感情の関係

中医学五行説では、感情を表す「五志」がそれぞれ「五臓」に対応していると言われています。

「脾」に対応するのは「思(悲)」、「肺」に対応するのは「憂(悲)」です。

 

つまり、くよくよと思い悩む感情が長引いたり、過度な感情(悲しみ)にさらされたりすると、体内の気の巡りに影響が出て脾や肺(内臓)を傷める原因になり得るということです。

 

中医学ではこれを「内因」と言います。

ちなみに、湿気や乾燥など自然の気候や環境による原因を「外因」、生活習慣や食生活の偏りなどの原因を「不内外因」と呼んでいます。

 

大人になってから発症するアトピーのほとんどは内因⁈

このように、中医学では気候や環境、感情、生活習慣のそれぞれを念頭に置いて、患者様それぞれの原因を探っていきます。

内因・外因・不内外因が複合的に絡みあっていることが多いですが、大人になってから発症する場合、特に女性は内因の占める割合が多いように思います。

 

子供のころは元気いっぱいでアレルギーも何もなかったのに、失恋やとてもショックな出来事がきっかけで、ある日突然アトピー性皮膚炎を発症する場合も見受けられます。何かすごく嫌なことへの拒否反応だったりもします。

 

この場合はもちろん心の状態を整える必要があり、塗り薬だけでは治りません。

 

こんな時こそ中医学の出番で、心と身体はつながっているので、ツボ治療により身体からアプローチすることで、心の状態も整えることができます。実践的な改善法については後ほど記載しますね。

 

子供の頃からのアトピーの原因は腸にあり⁈

f:id:kaiunnseitai:20210223171200j:plain

一方、子供の頃からアトピー性皮膚炎を発症している場合は腸内環境と密接な関係があるのではないかと言われています。

子供の頃にたくさんの種類の細菌と出会うことにより自分の免疫力を育てていくわけですが、最近は何でもかんでも除菌除菌で清潔過ぎるために、多種多様な細菌に出会うチャンスがなく、抵抗力がつかないまま育ってしまうのです。

 

昔のように土や自然に触れることで、できるだけたくさんの細菌に出会えれば良いのですが、近年の生活環境ではなかなか難しいので、アトピーに苦しむ子供が増えてしまっている現状がありますね。

 

また、最近の消毒文化も皮膚の常在菌まで殺してしまうので、皮膚の健康を考えるとあまりおすすめできません。

ウィルス対策としては、お肌に優しい石鹸でこまめに手洗いをして、ハンドクリームで保湿するのを忘れないようにしましょう。

 

では次に、ステロイド断ちするためのおすすめ自然療法をご紹介していきます。

 

アトピー性皮膚炎におススメの自然療法

1.吸玉(すいだま)

f:id:kaiunnseitai:20210128154347j:plain

吸玉(カッピング)は中国伝統の自然療法で、ガラスまたはプラスチックのカップを真空にして背中のツボに付けて皮膚を吸い上げることにより、身体の中に溜まっている不要なもの(熱や湿気など)を吸い出してくれます。

 

特にじゅくじゅくになって痒みのある方は、吸玉をつけると皮膚から水が出てくることもあります。

 

吸玉は、瘀血(血の滞り)を取り除く効果があり血行が良くなるので、冷え性の緩和にもなります。

瘀血がひどい場合は、濃い紫色の跡が付く場合がありますが、1週間ほどで消えますのでご安心ください。

 

2.ツボ・経絡による治療(鍼灸や推拿)

鍼灸や推拿など東洋医学の外治療法では、

1.経絡を通して気血水の巡りを調整する

2.関連する経絡・ツボへの施術を通して内臓(五臓六腑)の働きを高める

3.身体を全体的に見て、身体の陰陽のバランスを整える

ことを目的としています。

 

身体には頭から足の先まで経絡(けいらく)と呼ばれる気血水の通り道があり、経絡上にツボが並んでいます。

 

かゆみ止めや、炎症など今出ている症状を鎮めるツボもあれば、胃腸の調子を整える、皮膚の状態を改善するなど、根本原因にアプローチするツボや経絡もあります。

 

患者様の体質や状況により、治療方法はお一人ずつ変わってくるので、東洋医学では患者様の状態を全体的に見ながら、証を立て、治療方針を決めていきます。

 

東洋医学的外治療法の基本的な考え方については、別記事に記したいと思いますので、ご興味があればそちらの記事もお読みください。

 

3.食事療法 

食事で気をつけることは、先程も書きましたが、お酒の飲みすぎ・甘いもの食べすぎ・身体に熱がこもっている時は辛いものは控えましょう。

 

アレルギー症状が強く出ている時は、お刺身など生魚、海藻、生野菜は控え目にした方が良いでしょう。

 

そして、脾を強めるために腸環境を整えることが大切なので、納豆や味噌など発酵食品を取り入れたり、上の画像にもあるように、五臓に対応する「五味」を参考にして食養生を実践してみるのも良いと思います。

 

また、普段口にする「水」に気をつけるのも重要です。腸健康法で知られる藤田紘一郎さんの著書「体をつくる水、壊す水」(ワニブックスPLUS新書)には、花粉症やアトピー性皮膚炎など体質改善に効果が期待できる「ウォーターローディング法」が紹介されています。

 

ミネラルを適度に含む中硬水(硬度100〜300mg/L)、pH7.5以上のアルカリ性の水を、1日に1〜1.5L(子どもは500ml〜1L)喉が渇く前に少量ずつ飲む方法です。

 

人間の体は60%以上が水分ですから、身体に良い水を常に循環させておくことがいかに重要かは想像に難くないでしょう。こまめに水を飲むと血管の弾力性が高まって血流が良くなり、新陳代謝が活発になるので免疫力アップにつながります。

 

ただし、ミネラルを多く含む水は消化吸収に負担がかかるので、ご自身の体質に合わせて飲む量を調節し、一気飲みはしないようにお気をつけください。

 

4.スキンケアで良質なミネラルを取り入れる

野菜や果物、水など食べ物から「ミネラル」を摂取するのも大切ですが、最近は土壌自体の養分不足により、食べ物からだけでは必要量を摂取するのは難しいと言われています。

 

身体に必要不可欠なこの微量なミネラル(特にマグネシウム)は美容のミネラルとも言われ、美肌にとても効果的なのです。

 

皮膚病にも効果があるとされる「死海療法」で有名なイスラエル死海には天然のミネラルが12種類以上、奇跡のバランスで含まれています。

 

その死海の塩と泥を贅沢に配合した製品でスキンケアをすることにより、毎日無理なく皮膚から質の良い「ミネラル」を取り込むことができます。

 

私のサロンでは、この製品を使用した美肌メニュー「死海療法コース」もやっているのですが、「死海療法」と「ミネラルの重要性」については、改めて別記事に記載したいと思います。

 

「自然療法でアトピーを改善する方法」に関するまとめ

私自身、大人になってから首と顔にアトピー性皮膚炎が発症して、自然療法で完治した経験があるので、アトピーの辛さはよく分かります。

 

今のこの世界的な状況から、マスクと除菌・消毒の文化はしばらく続きそうですし、そうなると今後益々皮膚やお肌のトラブルに悩む方は増えてしまうかもしれませんね。

 

アトピー性皮膚炎も結局は免疫力の低下が引き起こす症状ですので、これ以上薬を使わなくて済むように、こちらで紹介した自然療法を参考にしていただければと思います。

 

病院で原因不明と言われる不調でお悩みの方へ

f:id:kaiunnseitai:20200513173052j:plain



 

身体の不調を感じているにもかかわらず、病院で検査してもらっても原因が分からず「様子を見ましょう」と言われた経験はありませんか?病気ではないからと言って、そのまま何もせず様子を見ているうちに病気が進行してしまった、ということは少なくありません。病院では原因が分からず対処の仕様がない場合でも、東洋医学の治療によって症状が改善する場合もありますし、病院で原因不明の難病と言われた場合でも諦めずに、鍼灸や推拿・漢方など、東洋医学的な治療法を取り入れてみたら改善したという例もあります。

ではなぜ、このような事が起こるのか、西洋医学東洋医学の考え方の違いや、それぞれの得意分野・特徴などについてまとめながら考察してみたいと思います。

 

西洋医学東洋医学の違い

1.「病気」に対する考え方の違い

西洋医学では、それぞれの病気に定められた基準値があり、検査の結果、数値がその基準値に達していなければ、その病気と診断することができません。そのため、具合が悪くて病院に行っても病名をつけてもらえずに、とりあえず痛み止めや症状を一時的に抑える薬を処方されて終わるという事態になります。その場合、原因もよく分からないので、大方「ストレス性の」ということで片付けられる場合が多いです。

一方、東洋医学的にみると、この状態は「未病」と言って、病気になる手前の段階と捉えます。ただし、不調はあるわけですから、その「不調」に対して原因を突き止め、治療を行っていきます。これを「未病治」といいます。

2.「身体」の見方の違い

西洋医学は身体をミクロに診る、東洋医学は身体をマクロに診る、という違いがあります。例えば、病院は内科・外科・皮膚科・耳鼻咽喉科泌尿器科など各科に細かく分かれていますね。専門性が高くなり、より高度な研究が進む、という点では良いのでしょうが、患者の立場からすると「この症状の場合何科に行けば良いのか分からない」とか「原因が分からず色々な病院をたらい回しにされた」などの困った点も出てきます。また、西洋医学では身体をパーツごと、そして細胞レベルまで細かく見ていくのが特徴です。

一方、東洋医学では、人体を一つの小宇宙として捉え、全体的に観察します。患者の肌ツヤ・顔色・舌の状態・声の大きさ・臭いなど、五感を使って様々な情報を集め、身体全体の経絡の流れや、五臓六腑の状態などを観察した上で、治療の方針となる「証」を立てていきます。その際、患者の体質や精神状態、生活習慣の他、気候や病気の新旧なども考慮するので、西洋医学では同じ病名であっても、東洋医学的な治療方法は一人一人異なりますし、病気の回復段階において随時変わる可能性があります。

 3.その他の特徴

 西洋医学は目に見えるものを重視し、東洋医学は目に見えないものも扱う。

その他の特徴としては、西洋医学は数値や解剖学的見地など「目に見えるもの」により治療方針を決めるのに対し、東洋医学では、気・血・水などのエネルギーや、陰陽のバランスなど「目に見えないもの」も扱いながら治療を進めていきます。

ちなみに、この「気・血・水」というエネルギーの通り道である「経絡」もまた目には見えないものであり、生きている人間にしか存在せず、死ぬ時に閉じてしまうので、死体を解剖しても実際に「経絡」を見ることはできません。

西洋医学は即効性があり、東洋医学の効き目は緩やか。

また、西洋医学の治療は薬などで痛みを感じなくさせたり、レントゲンやMRIなどで病巣が確認できる場合には手術で病巣を切除すれば完治するなど、即効性が期待できます。ただし、薬などの化学物質には副作用があることや、手術は身体への負担が重いというデメリットもあります。

一方、東洋医学の治療でみると、漢方薬の効き目は緩やかであり、鍼灸や推拿の治療でも、急性の痛みが一回ですぐに消える、というものではなく、継続して治療をすることにより、人間が本来持っている自己治癒力や免疫力を高めて、自身の持つ力で回復を促すことを目的としているというのが特徴です。効果を実感するまでに多少時間がかかる場合もありますが、身体に優しい療法であると言えます。

漢方薬の場合でも、身体の状態が変化しているにもかかわらず同じ薬を飲み続けると副作用が出る事もありますし、化学薬漢方薬問わず、長期間薬の服用を続けると、身体本来の機能が働かなくなる危険性もあるので、そこは注意が必要です。

西洋医学は対処療法。東洋医学予防医学

 上述の通り、なってしまった病気に対して治療をするのが西洋医学であるのに対し、東洋医学の考え方は「病気にならないように予防する」ことが一番の目的になります。

「健康な状態を維持するために、セルフケアで気を付けることはありますか?」

とよく聞かれます。私はいつも

「何か特別な事をするのではなく、身体のリズムに合わせた生活をするのが一番ですよ。」

とお伝えしています。

東洋医学の考え方自体が、自然(宇宙)の流れに沿ったものなので、食事も旬のものを適量頂く、睡眠時間や日々の活動も過不足なく身体に無理のない生活を送れていれば病気にはなりません。しかしながら、多忙な毎日を送る中で、そのバランスが崩れてくると不調を引き起こしてしまうので、その場合は病気になる前に、鍼灸や推拿など東洋医学的治療によりバランスを整えましょう。

「病院で原因不明の不調」に関するまとめ

 ここまで述べてきたように、東洋医学と西洋医学では、病気に対する考え方も診断方法も全く違います。どちらか片方だけでは完全ではないので、それぞれの特徴を理解した上で、状況によりそれぞれの良い部分を取り入れていかれると良いでしょう。東洋医学により、日々の予防(病気にならない身体作り)も大切ですが、病気になってしまった場合でも、東洋医学的な治療で免疫力・回復力を高めておくことにより、西洋医学的治療の効果を高めることができるので、時間的・経済的に可能であれば、治療を併用されることをお薦めします。とにかく、病院で原因不明と言われた場合は東洋医学の出番ですので、諦めずにぜひお近くの東洋医学の治療院を探してみてください!

なったら辛い四十肩(五十肩)の予防法と対処法

f:id:kaiunnseitai:20200404021150j:plain

 

ある日突然肩が痛くなって腕を上げられない…ついになったか⁈ これが噂の四十肩⁈いや、五十肩か?そもそも四十肩と五十肩の違いって…??

一度発症すると長引くし、ズキズキ痛んで夜寝られないことも。。放っておいてもそのうち痛みは消えるといわれるけれど、石灰化して固まってしまうと肩の可動域が狭まって動かしにくくなる可能性もあるので放置はおススメできません。

今回は、日常生活にも支障をきたす「肩の痛み」について考察したいと思います。

 

四十肩(五十肩)の原因

四十肩(五十肩)の正式名称は「肩関節周囲炎」といって、肩関節周辺の組織に起こる無菌性の炎症です。今のところ西洋医学的に明らかな原因は分かっていませんが、免疫系に関係があるのではないかと言われています。中医学的には、身体の回復力が衰えたところに、冷え(寒邪)や湿気(湿邪)が経絡に侵入して発症すると考えられています。30代と40代では身体の回復力が違うので、30代ではあまり発症せず40代以降に発症するから「四十肩」と呼ばれるのですね。また、長い間、首コリや肩コリを放置していたことによる筋肉の劣化も考えられるので、治療としては首や肩の凝りを解消することも必要になってきます。

その他、転んで肩を強打したり、ふとした動作がきっかけで肩周辺の組織を傷めたことが原因になる場合もあります。また、若いころにスポーツやお仕事で肩を酷使してきた方もなりやすいと言われているので、日頃からのケアが必要です。

四十肩(五十肩)の予防法

ストレッチと運動

血行を良くして老廃物(疲労物質)を排出し、肩関節周辺の筋肉や腱を柔らかく保つために、ストレッチや軽い運動は効果的です。ストレッチは気持ちよいぐらいの強さでゆっくりと伸ばしていきましょう。痛みがある時は無理に動かさないようにしてください。首周りや背中周りも動かしておくとスッキリします!肩甲骨の内側には代謝を上げるツボがあるので、肩を回す時は肩甲骨から動かすように意識すると良いですね。

 

食べ物

四十肩が身体の回復力や免疫力が落ちている時に発症しやすいことを考えると、普段の食事に気を付けることで、身体全体の抵抗力を底上げしておくことは非常に重要です。何事もバランスですが、筋肉のために良質なたんぱく質やミネラル、そして関節の動きをスムーズにするためにはコラーゲンを多く含む食品を摂ると良いでしょう。

整体やマッサージ

整体やマッサージも四十肩の予防としてはもちろん効果が高いです。四十肩を発症する方に多い慢性的な首コリや肩コリの解消のほか、経絡やツボを考えた推拿(すいな)の施術は、身体全体の抵抗力、人間が本来持つ自己治癒力を高めることにより四十肩の予防につながります。また、日々の姿勢も重要で、背中が丸くなり肩が前に入る状態が続くと、腕の重さをそのまま支えることになるので、どうしても首肩の筋肉に疲労が溜まり負荷がかかります。胸を張り肩を一旦外側に回してからストンと落とす、いわゆるゼロポジションを保つように気を付けると、首肩の負担を減らすことができます。定期的に整体を受けて正しい姿勢を整えておくことも、身体のトラブルのリスク回避につながりますね。

肩を冷やさない

上述の通り、中医学的に四十肩は経絡に冷え(寒邪)が侵入して起こるので、予防のためには肩を冷やさない事が大切です。夏の夜に冷房をかけたまま寝てしまい肩が冷えた結果、翌朝発症するということもよくあります。夏でも肩を出さないようにすること、お風呂にゆっくり浸かって身体を温めるなど、日頃から肩を冷やさない工夫をしていきましょう。

発症してしまったら?対処法

四十肩は重症化してしまうと激しい痛みで夜も眠れなかったり、日常の動きにも支障が出たりと大変なので、もし発症してしまったらできるだけ早い段階で適切な処置をすることが大切です。痛みの出方や段階によって対処法が変わってきますが、局所的な対処だけでなく、まずは身体を休めて回復力を高めることも忘れずに!

湿布を貼る

痛みが出るととりあえず湿布を貼る方が多いですが、基本的に冷やすのは良くないので、炎症で熱を持っている場合や腫れがある場合以外は冷湿布はやめましょう。「消炎鎮痛薬」が一般的ですが、「痛みの元」が奥の方にある場合には、なかなかお薬がそこまで届かず、あまり効かないかもしれません。その他お肌が弱い方はかぶれたりトラブルも起こりやすいので、湿布はあくまでも応急処置程度に考え、早いうちに根本治療を開始しましょう。

痛み止めの薬・注射

急性期の痛みが酷い時期は、整体やマッサージでは触れない場合もあるので、その場合まずは薬か注射で炎症を抑え、痛みを取ると良いでしょう。ただし、痛みが治まったからと言ってそのままにしておくと、患部の組織が固まって肩の可動域が狭くなり運動障害が残る可能性があるので、炎症や痛みが治まったら鍼灸や推拿(すいな)・整体で動かしながら筋肉及び周辺の組織をほぐして柔らげ、運動機能を回復させる治療をお薦めします。

すでに重症化して石灰化(石灰沈着性腱板炎)になっている場合も突然急激な痛みが出ることがあります。あまりの痛さに医療機関に駆け込むと、通常まずは注射、それでも良くならなければ手術を勧められることもあるようです。手術が嫌な場合は、痛みがある程度治まった段階で、鍼灸や推拿の東洋医学的治療に切り替えてみる方法もあります。

四十肩に効くツボ

最後に、中医学的に経絡やツボを考えた治療についてお話します。中医学的には、身体に出る痛みは全て「経絡のつまり」と考えます。経絡とは身体中に張り巡らされたエネルギーの通り道で、そのエネルギーが滞っている個所に痛みを感じるのです。ですので、四十肩の治療としては、その痛みが出ている肩周りのツボに鍼を打ったり、温灸で温めたり、推拿であれば手技によりツボを刺激して、エネルギー(気・血・水)の滞りを解消して経絡の巡りをスムーズにします。特に推拿はツボの刺激だけでなく、同時に筋肉のこりをほぐすこともできるのでお薦めです。

四十肩の治療でよく使われるのは、

①肩ぐう(けんぐう):肩甲骨と上腕骨のくぼみ(肩を真横に上げるとできる肩の先の筋肉のくぼみ)

②雲門(うんもん):鎖骨外側のすぐ下のくぼみ

③中府(ちゅうふ):喉の根元のくぼみと肩先を結ぶ線の中心。鎖骨から指2本下にあるツボ

自分でやる場合には、これらのツボを自宅用のお灸で温めるのも良いし、ほぐす場合には表面を動かさずにしっかり押す(指圧)を心がけましょう。また、手首にある6つのツボを押すのも効果的です。手首のツボは、

手の甲側手首の横ジワ上

①暘谷(ようこく):小指の下のくぼみ

②陽池(ようち):中央のくぼみ

③陽谿(ようけい):親指下のくぼみ

手首の内側(手のひら側)の横ジワ上

④太淵(たいえん):親指下のくぼみ

⑤大陵(だいりょう):中央のくぼみ

⑥神門(しんもん):小指下のくぼみ

これらのツボを親指でしっかり押しもみしてみましょう。患部から離れていても経絡を伝わって患部(この場合は肩)に効果があるのがツボのすごいところです。ツボ押しが難しければ手首を左右に回すだけでも大丈夫!これら6つのツボが刺激されて予防にもなります。

四十肩(五十肩)の予防と対策に関するまとめ

 肩の痛みでお悩みの方は非常に多いので、お伝えすることがたくさんあって長くなりましたが、まずは身体の免疫力を高めてしっかり予防すること。万一発症してしまったら我慢や放置をせず、早めに適切な治療を開始しましょう。普段からご自分の身体にしっかり目を向けて、定期的なメンテナンスを習慣にして頂けたら嬉しいです。